元気がでない時、見る動画がある。それはAlpine climber, Jonny CoppのLong Ways。僕の日常ではあり得ない肉体的精神的に過酷な状況で、自分の身体と頭を駆使して、苦痛に歪みながらも笑顔と冗談を忘れずにいるところに強くひかれる。彼のスタイルは最小限の装備で新たなルートを果敢に攻めるタイプで、それだけに登攀の厳しさは増す。その中での笑顔と冗談を出せる底知れぬ強さ。Jonny Coppの良き登攀パートナーだったMicah Dashの柔和で目がキラキラした笑顔はそれを見ているこちらも思わず微笑んでしまう。この動画を見ると力が湧くというか、元気が出ないと思い込んでいる自分がちっぽけに思える。そして、できる限り笑っていたくなる。笑顔はその人の強さに比例するのではないか。仮説だが。そんな彼らは昨年Mount Edgerで雪崩に遭って死んでしまった。しかし、その記録である動画は僕にとっては永遠である。
と、先日、僕が行ったトレイルのことを思い出しながら、仕事の後ランニングしている間ぼーっと考えていた。僕の場合、ランニング中は身体に負荷がかかっているので余分なことを考える余裕が無く、自分の底にある何かを何度も何度もホジホジしながらフッと何かが浮かんでは消える。走り終えたとき、浮かんだことは意図も簡単に何も残らず、腹減ったと肉体的な刺激が叫ぶだけだった。そして、腹が満たされた今、Jonny Coppのことが蘇って来て動画を見ていた。
そういえば、走り終えた交差点で、50代後半に見えるおじさんがアメ車のでかいバンに乗って左折していった。その時、彼の左手の中指と薬指は鼻の両穴にすぽっと嵌っていた。鼻を掘っているのか。痒いのか。わからない。僕の場合は鼻を掘るときは一本の指を鼻の穴に入れながらグリグリと回転を加えながらホジホジするので、二本を入れては掘り出すことはできない。鼻の穴二つに指を入れながら左折していく50代後半のおじさんは新鮮だった。ふっとした時にやってしまうこと。それは意外と見られているのだなと思った。
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